院長寺口正之
1983年関西医科大学卒業後、同大学小児科に入局。国立循環器病研究センターに勤務し、子どもの心臓病を専門に研鑽を積み、心エコーの技術向上や川崎病の診療・研究に注力する。関西医科大学小児科講師やトロント小児病院留学も経験。中野こども病院(現・大阪旭こども病院)に7年勤務後、2014年開業。日本小児科学会小児科専門医。
子どもの熱が3日続いたら、川崎病を疑い
早めに小児科を受診しましょう
当院は子どもの幅広い症状に対応していますが、当サイトでは「川崎病」に関しての当院の取組についてご紹介します。私はこれまで基幹病院で30年にわたり、小児循環器内科を専門に診療に励み、子どもに特有の病気・川崎病の治療と研究に力を注いできました。
川崎病は1967年に初めて報告された子どもの熱性疾患です。発熱など風邪に近い症状が現れますが、心臓に後遺症が残ることがあり、適切な診断を受けることが大切です。川崎病の原因は研究されてきたものの、いまだに不明で確実な治療法もありません。ただし、長年さまざまな治療法が試みられ、現在では薬物療法がほぼ確立され、症状の早期軽快が見込めるようになりました。また、後遺症の危険を見極めるため、経過を慎重に観察する必要がありますが、これには心エコーの検査が重要です。エコー検査は子どもの負担が少なく、川崎病に限らず多くの異常の発見に有用なため、私は長年その技術を研鑽するとともに保護者の方の不安軽減に努めてきました。
まずは早めの診断が大切です。熱が3日続いたら小児科にご相談ください。
次の症状がそろえば
川崎病と診断
熱が続く、首のリンパ節の腫れ、目が赤い、唇が赤い、舌がイチゴのように赤い、手足の腫れ、指先の皮の剥がれ、が診断の鍵です。
日本人に多い病気で
増加傾向にあります
国内で年間約1万人以上が発症するとされます。1~2歳の子どもに限れば、200人に1人くらいの割合で発症する可能性も。
後遺症を残さないために早めの診断が大切
原因は解明されていませんが、治療法はほぼ確立しています。心臓の後遺症を残さないために、早めに治療を行うことが重要です。
川崎病が疑われたら
心エコーで検査します
診断に重要な役割を果たす心エコー。高度な技術が必要とされます。当院では経験豊富な院長が血液検査とともに行い診断します。
後遺症の影響が
長く続く場合もあります
後遺症により心臓の冠動脈にこぶができることがあります。血栓を防ぐ薬を服用することになり、治らない場合は生涯続けることも。
川崎病の特徴
発熱以外の症状は、白目がピンク色、赤い口紅を塗ったような唇、さまざまな形の発疹、首のリンパ節の腫れ、手足が腫れ上がり(硬性浮腫)、しばらくすると指の先から皮膚がめくれる、などです。子どもの心臓病の後天的な病気につながる恐れがあり、後遺症を残さないために早く診断して治療に進めることが大切です。気になる症状があれば早めに受診を。
川崎病が引き起こす合併症
最も危惧されるのは心臓合併症です。心臓の筋肉に栄養を運ぶ冠状動脈が炎症によって侵され、血管がこぶのように膨れたり(冠動脈瘤)、血管が狭くなったりして心筋梗塞を起こす可能性もあります。解熱とともに心臓の障害も治ることが多いですが、後遺症として続く場合は大人になっても定期的に検査が必要になります。その他、胆のう腫大やまれに若年性関節リウマチの症状が見られることがあります。
川崎病の治療方法
川崎病と診断されたら、すぐに病院に入院して治療を開始することになります。まず、心臓に後遺症が残らないように、血液製剤のガンマグロブリンを24時間かけて大量に点滴します(ガンマグロブリン大量療法)。また、通常アスピリンを病初期から投与します。熱が下がればアスピリンを減量して経過を観察。問題なければ約1週間で退院となります。
退院後の通院について
退院後は通常、病院で治療や経過観察を行いますが、当院でも継続して対応することができます。後遺症は退院後2ヵ月以内にわかる場合が多いため、慎重に経過を見ていきます。退院後1~2ヵ月はアスピリンを服用する必要があります。後遺症が出ない場合でも、心エコーによって冠動脈の変化がないかどうかを定期的に確認し、問題がなくても発症後5年間は定期的に心エコー検査を行います。
日常管理について
川崎病は再発する可能性があります。治療後の注意点として、発症後半年間は生ワクチンの予防接種をしない、インフルエンザが流行しているときにはアスピリンの服用に注意が必要になる、アスピリンを飲むと出血を起こしやすく、また止まりにくくなるため転落や普段のケガに気をつける、などが挙げられます。気になることがあれば、いつでも気軽に、個別にご相談ください。
医療法人かなで 寺口小児科クリニック
大阪メトロ今里筋線・千日前線今里駅より徒歩1分。